ふるさと川俣の名山 -091/104page
● 川俣町の蝶
川俣町は昆虫の研究をする上で、まだまだ未調査の所もあるが、全国的視野から見て大変重要な地域と考えられている。
福島県、県北地方は日本の全体から見ると北方系の蝶と、南方系の蝶の環境線に位置し、温暖化現象の実態を知るうえでも近年の調査は大変重要である。ここ5年間くらいの間に南方系の蝶であるムラサキシジミ、ウラギンシジミ、ウラナミシジミ、チャバネセセリなどが、当町で多数採集される一方、女神山、布引山などに多数生息し、川俣町が南限とされていたヒメギフチョウの絶滅が心配されている。
また、県内の位置づけから考えると会津、吾妻山系と浜通り地方では大きく環境が異なり、蝶の種類にも多くの差異がある。その中間にある川俣町の山々は阿武隈山地にあって東西南北の中心部にあり、重要な研究の対象であると共に多くの昆虫類の宝庫といえる。山々の標高は約300メートル〜1,000メートルくらいなので高山蝶は生息していないが、里山を中心とした蝶の種類は多く、国蝶のオオムラサキは他町と比べて特にその数は多い。また花塚山中腹はとてもきれいなミドリシジミ類の大宝庫でもある。さらにそこでは、福島県レッドデーターブックの準絶滅危惧種のカラスシジミが阿武隈山系では最近初めて発見された。また、同じ危惧種のムモンアカシジミが川俣町全体の里山に生息しており、その数も多く川俣町が全国に誉れる蝶の代表として、もし町の代表指定とするなら私達はこの蝶ではないかと考えている。