パレオパラドキシア-002/004page

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姿をみせたふしぎな海獣
 昭和59年8月21日,福島県梁川町の中央を流れる広瀬川から古代動物の骨格化石が発見されました。
 この夏,例年にない日照りが続き,渇水となった広瀬川の河床から見つかったものです。
 化石は専門家の横浜国立大学長谷川善和教授(古生物学),福島大学鈴木敬治教授(地質学)両先生の調査研究の結果,約1500〜1600万年前の頃に生息していたパレオパラドキシアという珍しい出代の動物であることがわかりました。
 今回発見された化石は,体のすべての部分の骨格がそろって発見されており,このような例は少なく,世界的にも4例目といわれています。現在は,福島県立博物館に所蔵されている。
世界に誇る,パレオパラドキシアの梁川標本
 福島県伊達郡梁川町の広瀬川から発見された動物化石は,これまでの調査の結果,今から1500〜1600万年前頃,日本から北アメリカにかけての太平洋沿岸に生息していたパレオパラドキシアという哺乳動物です。
 この古代動物の特徴は,のり巻きを束にしたような歯と胸にあるひらべったい胸骨や頭の骨の形で,発見された化石はこれらの特徴がよく備わっております。
 パレオパラドキシアは,現在のコビトカバのような生活をしており,体長は1.5〜2.0mほどです。
 これまで確認された岐阜県瑞浪市の泉標本や埼玉県秩父市の秩父標本などの特徴から,海浜に住んでいて,水辺を歩いたり水中にもぐったりしてゴカイやコンブなどを食べていたようです。
 また,この時期以降1,300万年前頃までに急速に絶滅していったとみられるたいへん珍しい動物で,多くの専門家が注目しており,日本が世界に誇る古代動物の一つです。
 今回発見された梁川標本は,頭部から尾部までの骨格がほほそろって産出している。このように全骨格のそろったパレオパラドキシアの標本としては,国内では岐阜県瑞浪市や埼玉県秩父市にありますが,頭は一番正常な形をしており,海外では北アメリカの1例だけです。世界的にみてもきわめて貴重なものといえます。
横浜国立大学教授 長谷川善和
〈古環境図〜日本のすがた〉
〈古環境図〜日本のすがた〉
〈古環境図〜福島県のすがた〉
〈古環境図〜福島県のすがた〉

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