安達町町勢要覧 -009/032page
作品に取り組む匠のまなざしは、 厳しく、そしてあたたかい
窯元が一つもない 福島県中 通り地方で 昭和43年に 地元出身の 斎藤貞雄氏 が「安達窯」 を起こし、安達焼が生まれました。
木節系の粘土と地元産の陶石を用い、穴窯で 7日間かけて焼き上げた作品は、シンプル な形と重厚な味わいの中に、土のぬくもりが感 じられます。斎藤氏の安達焼は多数の展覧会に も入賞するなど、高い評価を得ています。そし て、茶道用陶器から花器、普段使いの器、美術 工芸陶器などの作品は広く愛されています。上川崎地区は、1000年以上の歴史を誇 る手漉き和紙の産地です。古くは平安時 代の中頃に始められたといい、真弓 (檀) を 原料にしたことから 「まゆみがみ」 として、 紫式部や清少納言らに用いられたといわれて います。産業の近代化に伴い上川崎和紙も衰 退してしまいましたが、町では和紙の保存に 取組み「安達町和紙伝承館」を設立、和紙の 伝統と魅力を今日に伝えています。
原料の楮を育てるところから、厳冬期の丹念 な水洗い、一枚一枚漉きあげるまで、手をか け心を込め仕上げていきます。昔ながらの技 があってこそ、和紙ならではの風合いが生ま れるのです。