長沼町の伝説 -000-11/224page
発刊によせて
長沼町教育委員会
教育長 星 保 教数百年の間、長沼の歴史と共に語り継がれてきた伝説をまとめ、出版することになりました。伝説が現在のよ うに経済優先の社会の仕組みの中で失われつつあります。
このような現状を憂慮して、先人の生活の中に生き続けてきた聞き語りを、後世に引き継ぐ町民としての義務 を感じている次第です。
現在、社会で問題となっている「人間喪失」ということは、機械文明がもたらした現象であり、精神生活の空し さ、乏しさではないでしょうか。
この一冊の長沼の伝説集が、親と子、祖父と孫、そして人間同志の「心の豊さ」を取りもどすための内面からの 呼びかけとなりますなら幸せであります。
心は「暮らし」の中の豊さ、温かさを投影してくれます。この伝説集を手作りの心の豊さ温かさをとりもどすた めに利用して欲しいものです。先人の心が子どもの心の中に生き、人と人とのふれ合う心に芽生える連帯感こそ、 郷土愛に結びつくものと信じて疑いません。芸術文化などと大げさには申しあげませんが、社会の中に生きるひ とりとして、心にゆとりを持つことが芸術文化を発展させるものではないでしょうか。
人生には、物よりさらに尊いものがあることを発見することにより、心のゆとりは始めて身についてくるもの だと思います。このような意味で、この伝説集を心の糧として、利用いただきたいものと思います。
なお、この編集に精力を注がれたスタッフと、ご協力を賜った町内のみなさんに心から感謝を申し上げ発刊の ことばといたします。