長沼町の伝説 -090/224page

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建物に関するもの

虚空蔵堂建立由来

 桙衝岡之内にある虚空蔵堂は、当地方の庄屋安藤家の菩提 所に建られたものである。

 安藤家の先祖は、二階堂氏の家臣で、岡之内蔵人より出た 旧家である。とくに安藤弥兵衛都尚の代に至り、隆盛を極め川 西の大尽と呼ばれた。川西とは阿武隈川の西をいうのである。

 孫兵衛の妻は、才色兼備で、近隣に聞こえた賢夫人であった。

 ある年の正月、信心のため供をつれて、雪深い会津柳津の 虚空蔵堂に詣でた。その折、同社務所発行の富籤を求めたる ところ、幸運にも一等に当り、賞として金子五拾両または虚 空蔵尊の御姿(分身)のいずれかをいただけることになった。安藤夫人曰く「金子は使えば、すぐになく なるによって、御姿を頂き永く家の守本尊と致したく存じます」と申し出て、御姿を頂き持ち帰り、分 家、弥右衛門栄信の協力を得て、延享三寅年二月、堂字を築立して、現在に至ったといわれる。

        (話者 円谷 実)

虚空蔵堂
虚空蔵堂


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