ふるさと昔話 2 - 031/066page

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  お彼岸と六角地蔵堂の話

 

 昔、柱田に、浄海(じょうかい)という偉いお坊様が住んでおりました。このお坊様に、毎日交替で食べ者をお供えする六人の信者がおりました。
 人に者を与えることのだいすきな与衛門(よえもん)さん、うそや、悪いことの大嫌いな治助(じすけ)どん、がまん強く、働き者の忍の助さん、努力家で一生懸命働く正直者の清作どん、どきょうがあって、礼儀正しい定エ門さん、頭が良くて読み、書き上手な恵(え)の助どんで六人がそれぞれ立派な特長を持つ信者でした。

 ある年の春から夏にかけてコロリ病がおこっておおはやりして多くの村々の人々が沢山バタ、バタとたおれ、神様のたたりではないかと村の人々は恐れおののきました。六人の信者の与衛門(よえもん)さん方も、恐れて一生懸命に地蔵様を拝みました。

 ところが、九月二十日の夜明け頃に珍しい夢を見たのです。
 与衛門さんは、針の山を鬼におわれて血だらけになって逃げ帰った地獄の夢。治助(じすけ)どんは、馬になって、重い荷物を車でひっぱり主人にケツをたたかれた畜生界の夢。忍の助さんは、腹がへっても食べ物がみな火になって食べられず、骨と皮ばかりになった餓鬼の夢。清作どんは、けんかをしてお互いに血だらけになり、ばかをみた修羅の世界の夢。定エ門さんは、信用をしていた人にうらぎられて罪人にさせられた人間界の夢。恵(え)の助どんは、天国へまねかれててんにょと楽しく遊んで帰ってきたら、お家が火事でなくなっていた天上界の夢でした。六人はこの夢を浄海様に申し上げました。

 するとお師僧様は、「九月二十日は、七日間あるお彼岸のはじめの日で大変大切な日です。二十三日はお彼岸の中日といって、昼と夜のながさが同じで、太陽も真東から出て真西へ入ります。お彼岸は、春と秋の二回あって暑からず、寒むからず気候のよい時にあります。太陽が沈む真西には極楽浄土という仏様の国があって、そこには亡くなった私達のご先祖様が楽しく暮しているのです。その極楽浄土に生まれるためには、六つのよいことをしなければなり


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