わたしたちの町ふるどの-061/105page
民話
―西光寺の地蔵菩薩―
田口西光寺には高さ41センチメートルのすわったお地蔵さんがあります。
ある年のこと,ひどい疫病がはやりこの辺りには生きている人がいないといわれるくらいにたくさんの人たちが死んでしまいました。一晩のうちに命をうばう疫病はコロリ病といわれ,とくに小さい子どもの命をうばいました。
そんなある日の夕方,一歩歩いては止まり,止まってはまた一歩進む一人の母親がいました。うでには小さな子どもをだいていましたがすでに死んでいました。母親もそのままばったりたおれてしまいました。それを見たお坊さんが母親のもとで「仏心チホー」ととなえました。母親も同じようにとなえましたが死んでしまいました。しかし,ふしぎなことに,母親にだかれていた子どもがいきをふきかえしました。右手で天をさし,左手には数珠をもっていました。そして,そのまま天にのぼり菩薩になりました。その時からこの地方にコロリ病がなくなったといわれ,地蔵菩薩のたんじょうとなりました。
掲載情報の著作権は古殿町教育委員会に帰属します。
古殿町教育委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。