棚倉町勢要覧 -012/034page
Town Features3伝え語られる棚倉の心
清らかな水を湛える、城下町のルネサンス
息づく伝統の祭事
長い時をかけて培われてきた棚倉の歴史に、先人たちが築いてきた伝統が、今も静かに息づいています。
八槻都々古別神社で、毎年旧正月に行われる御田植祭(県重要無形民俗文化財)は、一年の豊作を祈願する神事です。 烏帽子に狩衣、白足袋姿の楽人たちにより、米作りの過程を順を追って演じられ、終曲には狐の面を被り、鍬を持って舞う独特の 天狗舞が奉納されます。地域の子どもたちも参加して、世代も幅広く地方色豊かに行われています。
また、一二月には八槻市と呼ばれる霜月大祭が行われ、七座の神楽(県重要無形民俗文化財)と太々神楽が奉納されています。
馬場都都古和氣神社でも九月には、豊作を願って舞う神楽が地元保存会の手により継承され、奉納されています。
昴まる心が触れ合って、新しいエナジーが生まれる。長い伝統を守りながら息づく棚倉の祭りは、世代を超え、 人と人の心を結んで大きく広がります。
鼓動響く秋祭り
町の鎮守である宇迦神社の例大祭として十月に行われる棚倉祭りは、御輿や山車や屋台が毎年趣向を変えて練り歩きます。 祭り一色に彩られた町には、人々の鼓動と心意気が響き渡っています。
町内で古くから祭事組として競い合ってきた新町組みとい組の大屋台は、目抜き通りを華々しく勇壮に、「前へ、前へ」と いう若衆の勇ましい掛け声を発しながら、祭囃子とともに町内へと繰り出します。
近津地区では子どもたちが奏する太鼓に合わせて山車が練り歩き,各地区で興行が行われます。一二年に一度は御神幸祭として、 昔ながらの衣装によろいかぶとを付け、馬を連ねた行列が巡行し、古式ゆかしい荘厳な時代絵巻が繰り広げられています。
いにしえより棚倉に伝えられるこれらの伝統行事や祭りは、自然や神々へ向けた人々の感謝の気持ちから生まれ、棚倉を愛する 人たちの手により、絶えることなく連綿と受け継がれてきました。郷土の誇りを胸に、世代を超えた人々の心をつないで、先人より 守り伝えられる祈りと芸能の文化が、さらなる未来へと伝えられていくのです。