すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -087/197page
藩士(はんし)や、早くお城に来た武士の家族を入城(にゅうじょう)させると、すぐうしろに敵の武士たちをみつけて、城門(じょうもん)をかたく閉(と)ざしてしまいました。
城外では、お城にはいれなかった人々や、安全なところを求めて逃げていこうとする人々でごったがえしていました。その人々の群(む)れの中に、l人の若く美しい女性(じょせい)がいました。それは、今、目の前で城門を閉ざすことを命じた隊長、海老名季昌(えびなすえまさ)の夫人(ふじん)、海老名(えびな)リンでした。鳥羽(とば)、伏見(ふしみ)の戦(いく)さでけがをした足をひきずりながら城内にもどって行く季昌も、自分が閉じた城門の外に、妻のリンがいるとは夢にも思いませんでした。
そのとき、20歳のリンは、病気の父を見舞うために実家に帰っていたところを、早鐘(はやがね)の合図(あいず)を聞いて入城しようとやってきたのでした。