すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -152/203page
よく晴れた秋の夜でした。照りかがやく満月(まんげつ)の光が、そっとさしこんでいました。
「十五夜さん、ありがとう。」
あお白い月光(げっこう)に照らされた伊策の顔は、おさない日にガマ岩を見に行って、足をふみはずしたときに見た夢のように、やすらかに語りかけているようでした。
伊策がいらないと主張した割(わ)り算(ざん)九九(くく)は、現在、ほとんどその姿を消してしまいました。そして、伊策の改良した4つだまのそろばんは、昔から使われていた5つだまを追放(ついほう)して、今では全国どこでも使われています。