北会津の昔ばなしと伝説 -083/238page
みんなが途方(とほう)に暮(く)れている時に、殿様は、
「こんな方法は、どうだろう。米蔵(こめぐら)の中にある米を全部出して、敵(てき)の兵士(へいし)達のよく見える岩場から敵にさとられないように米粒を裏側より滝の様に落として見せたら、これを見た敵の兵士(へいし)達はきっと滝だと思うことだろう。そうすれば、水攻(みずぜめ)にしても、しかたがないとあきらめることだろう。こうすれば、お互いに血を流すこともなく治(おさ)まるであろう。」
家来(けらい)達は、殿様の知恵(ちえ)に感心(かんしん)して賛成(さんせい)したんだど。
早速、米蔵(こめぐら)より米俵(こめだわら)を出して裏山へかつぎあげて、敵軍(てきぐん)にみやぶられないように準備したんだど。
米俵(こめだわら)を開けて、「ザッーザッー、サラサラ」と滝のように見せかけ落としたら、この様子(ようす)を遠くから見守っていた敵の軍勢(ぐんぜい)は、
「殿様、大変です。表の岩場には、小さな滝が見えます。いくら水攻めをしてもしょうがねえです。」