北会津の昔ばなしと伝説 -132/238page
「もうちいっと上の花の方がいいなあ」
なんつってる内(うぢ)に、だんだんだんだん上さ行っちゃって、細い枝んどごになっちまっただど。
「ほんじゃこれがぁ」
つったっけが、
「もうちょっと上の方がいいなあ」
つっただど。してそうしてる内(うぢ)に今度(こんだ)、あんま細ぐなっちまって餅(もぢ)入った臼背負(うすしょ)った猿、重みでその木がボキーンとおだっちまって(折れて)、川さザブーンと入っちまっただど。
して今度(こんだ)、ザブンザブン臼背負(うすしょ)ったまま猿が流っちぇぐの見で、その三番目の娘が、「猿沢に落ちて死ぬのはいとわねど、あとに残りし嫁ぞ悲しき」
つっただど。そのまま娘は善(よろご)んで家(うつ)つぁ帰って来っちまっただど。
ざっと昔栄(むがしさげ)えだど。
福島県教育委員会編 『ふくしまの昔話と伝説』から転載