北会津の昔ばなしと伝説 -134/238page
んじぇお爺(じん)ちゃ朝げ早ぐ、布持って町(まつ)つぁ売りさ行っただど。
「ええ布え布え、ええ布え布え」
そしたら町(まぢ)の人達(したぢ)が、
「そんな布いらね、川さでもぶん投げろぉ」
つうだど。ほんじぇまだお爺(じん)ちゃは、
「ええ布え布え、ええ布え布え、ええ布え布え」
って歩ってだだど。したら今度(こんだ)、
「そんな布いらね、溜めやさでもぶん投げろ」
誰も買ってくんにぇだど。
「困ったなぁ、家(うぢ)ではお婆(ばん)ちゃ売っちゃぁべど思って待ってんべがなぁ」
なんて。
「んじゃまぁちっと歩ってみっか、ええ布え布え、ええ布え布え」