北会津の昔ばなしと伝説 -140/238page
ほんじぇ二日(が)たっても三日たっても犬返しさこねので、いいお爺(じん)ちゃは隣りの家さ行っただど。
「こんちはぁ、この前(めえ)貸してやった犬返してくんつぇ」
なんて。
「あんなみだぐねえ犬いねもんだ。みだぐねがらぶっ殺しっちまって、あそごの裏の畑(はだげ)さいげできだがら」
「あらら可愛想(かわいそ)なごどしたもんだぁ」
なんて。んでいいお爺(じん)ちゃはそごの犬死んだどごさ木植えで、供養してくっちゃだど。
したらその木がまだ一(いぢ)年もただね内(うぢ)にみるみる大っきくなっただど。
「あららこんなでっけえ木が何(なん)じょすんべ」
なんてお爺(じん)ちゃど婆(ばん)ちゃで相談したど。
「このくれでっけなら臼作(うすつぐ)られんべぇ」