北会津の昔ばなしと伝説 -155/238page
「いやいやいや暑(あづ)い暑(あづ)い、暑(あづ)がったなぁ。いやいやこんな暑(あづう)ぐってはちっと寒の内(うぢ)に取っといだあの寒風(かんかぜ)ちっとあだんべ、ちっと寒風口(かんかぜくぢ)開げでくろ」
「あい」
なんて、今度(こんだ)小僧が寒風(かんかぜ)持ってきて袋の口(ふぐろくぢ)開げだだど。したっけ、
「シューッ」
として臭(くさ)いにおいがしただど。したっけが坊さんが、
「いやいやいやこれ、寒風(かんかぜ)も土用んなっと腐んだわい」
って言(ゆ)っただど。
ざっと昔栄(さげ)えだ。
福島県教育委員会編 『ふくしまの昔話と伝説』から転載