北会津の昔ばなしと伝説 -160/238page
「ああそうだ、尻(げす)さ栓してくれんべ」
ど。ほして小屋さ行って藁(わら)をまるめで栓作(つぐ)って、今度(こんだ)お爺(じん)ちゃどお婆(ばん)ちゃの尻(げす)さ栓しただど。したら今度庇(こんだへえ)の音(おど)がしねぐなっただど。そうして泥棒はたんすの中(なが)探して、着物だの色々な物を風呂敷(しぎ)さ包(つづ)んで持ってんかど思ったら、そのお爺(じん)ちゃどお婆(ばん)ちゃの屁(へえ)が腹さ溜まってだもんだがら、泥棒が帰っかど思ったっけが、
「ブデブデブデブデ、ブフォッ」
つって泥棒の額(ひてぇ)さその尻(げす)ささした栓が吹っ飛んで当(あだ)ったど。
おったまげで泥棒は風呂敷(しぎ)置いで何(なん)にも盗(と)んねで逃げでっちまっただど。
ざっと昔栄(さげ)えだ。
福島県教育委員会編 『ふくしまの昔話と伝説』から転載