北会津の昔ばなしと伝説 -192/238page
「おーい。だれか、先に行って、ようすをみてこい。」
「ははぁ。」
と、一騎(いっき)かけて行って、もどってきました。
「沼も川もありません。水面のように見えたのは、ソバの花です」
「そうか。ようし、一気に進め。」
と、進めの合図とともに、草が茫々(ぼうぼう)と生えて見えない泥の沼があったのには、誰ひとり気がつきませんでした。
キラキラ輝くソバの花に気をとられて、騎馬隊(きばたい)は、一気にかけ込みましたからたまりません。ズブズブズブとのめり込み、とうとう沼から、一騎もはい出ることができないで、全滅してしまいました。
それで、この沼を百騎沼(ひゃっきぬま)というようになりました。