河東町勢要覧 -008/043page
空也念仏踊(県指定重要無形民俗文化財)
空也上人の創始といわれている空也念仏踊は、 当地においてはほとんど断絶していたが、大正 十年東京神田の空也光勝会により冬木沢に伝授 され空也光陵会により伝承されている。祭礼期 間中の八月五日午前十時に開山堂(空也堂)の 前で奉納される。黒漆の衣に袈裟をかけ、定盛 頭巾をかぶり、白い脚半に足袋、草履をはいた 服装で、導師は胸に鰐口を吊し、右手に撞木、 左手に錫杖をつき、聴衆は左手には瓢箪(二人)、 鉦(二〜四人)、太鼓(二人)右手に撞木を持っ て踊る。この念仏踊は貴重な民俗芸能であり、 昭和四十七年福島県の重要無形民俗文化財に指 定された。
延命寺地蔵堂(国指定重要文化財・建造物)
伽羅陀山延命寺地蔵堂は、寄棟造廟四方葺下し 総本瓦葺きで重層となっていることから通称藤 倉二階堂と呼ばれている。創建は徳一大師で、 大同二年(八〇七)飛騨匠水口八右エ門が造っ たと伝えられているが、現建造物は室町初期か ら中期の作と推定される。
堂は主屋が桁行・梁間共に三間、裳層(もこし)が桁行・ 梁間共に五間、柱は頭部に粽(ちまき)を施した円柱で、 裳層の部分は四方吹き放しとなっている。
内陣の正面中央は蔀格子で両側に桟戸、東側に 板戸があり他は横板壁である。内部天井方一間 が鏡天井で周囲は扇棰化粧屋根裏である。床は 総拭板敷で斗拱や肘木等化粧構架は唐様の方式 からなり、来迎壁の前に須弥壇が置かれその上 の厨子には春日の作といわれる半跏趺坐延命地 蔵尊がまつられている。
明治三十六年四月 国の特別保護建造物に指定さ れ、昭和二十五年八月 国の重要文化財に指定さ れた。
八葉寺奉納小型納骨塔婆及び納骨器(国指定重要有形民俗文化財)
通称・木製五輪塔八葉寺阿弥陀堂(国指定重要文化財・建造物)
八葉寺は空也上人によって康保元年(九六四) 建立されたと伝えられており、古来より会津の 高野山と称されている。天正十七年(一五八九) の戦火で焼け、文禄年間に再建され、入母屋造 り屋根は三間四面で単層、茅葺きである。正面 に須弥壇、その左右に来迎柱、中央に阿弥陀如 来像がおかれ、壇上の春日厨子の中に勢至・観 音両菩薩が座す善光寺式一光三尊仏が安置されて いる。大正十五年から昭和二年にかけて解体 修理が行われ、昭和五十二年と平成九年に屋根 の葺き替えが行われた。明治三十七年二月国の 特別保護建造物に指定され、昭和二十五年八月 国の重要文化財に指定された。