目で見る 熱塩加納村の文化財 -140/144page
表裏、表紙見開き「和鏡【わきょう】解説」
鏡は直接見ることがむずかしい姿や物の形を反射させて見る道具である。
近代のガラス鏡が発明される以前は、水を盆にはった盆鏡が最初とされ、のち青銅などの金属製が今から四、〇〇〇年前頃エジプトで作られたのが始まりとされ、隣国中国でも二、四〇〇年前頃銅鏡が作られている。
日本ではこの中国製の鏡が中国から弥生時代に伝えられており、これら直接伝来の鏡と、これを真似て日本で作られた仿製鏡とがある。日本独自の様式になる「和鏡」が生まれたのは平安時代である。
鏡は表面の平で姿を写す鏡面と、その裏の鏡背とからなっており、鏡背には各種の技法を用いた装飾がなされている。
昔は鏡を神仏と観じ、災を除き幸をもたらす神聖なものと信じられて、大切に取扱われていた。
表紙裏四面の鏡は、江戸時代いづれも会津工人の作になるもので、裏の図柄は多種多様であるが、瑞祥・吉兆を表わすものが多く、総て神仏に奉納されたものである。