会津高田町勢要覧 -014/031page
CHAPTER1 文化づくり 第1章
Legend of kamigamiここから伝説が始まった
上野の寛永寺や日光東照宮を建立した、徳川家康のブレーン、天海大僧正(慈眼大師)が得度した龍興寺には、福島県に三つある国宝のうちの一つ、一字蓮台法華経が所蔵されています。 美しく彩色した蓮華座に心をこめて一字を書く毎に三礼して写経したといわれている経文で、「一字三礼経」とも言われています。平安時代の 貴族や庶民が、現世の浄土を具現する祈りをこめた荘厳経で、約七万字、全長九〇bで九巻が納められています。ほかに平泉中尊寺の金字一 切経や瀬戸内厳島神社の平家納経が荘厳経として知られています。古人の貴賎を越えた仏法信仰のまじめな態度がしのばれ、荘厳な雰囲気が ただよう経文です。天海大僧上が両親の菩提を弔うために奉納されたものと伝えられています。
法用寺三重塔会津で唯一の三重塔がある法用寺に、国重要文化財の木造金剛力士立像があります。全国でも珍しい平安時代後期の作で、ケヤキの一本彫 り。阿像は高さ二・二二b、畔像が二・一〇b。外観にことさらの誇張はみられませんが、内にこもる充実した力の表現は見るものをして強い 威圧感を与えます。法用寺は奈良時代初期の開基で、古代会津仏教の中心をなした古刺であり、同じ国重要文化財の本堂内厨子及仏壇とともに、 かつての繁栄をしのばせてくれます。
国重要文化財 木造金剛力士立像(法用寺)