ふるさと「新鶴」 -006/024page
ふるさとの祈り
人々が大切に守ってきた深く燃えるような想いがある。――
積み重ねられてきた年月とともに、人々の暮らしと信仰は深いかかわりをもってきました。それは新鶴村においても例外ではなく、仏都・会津のお膝元として、厚い信仰の心が大切に受け継がれ、育まれてきました。
村だけに止まらず、会津地方をも代表する文化財として知られる中田観音。会津三十三観音の三十番札所で、会津コロリ三観音のひとつにも数えられるこの弘安寺は、「中田の観音様」と呼ばれ人々の信仰を集めています。世界的な医学者として知られる野口英世の母・シカもこの観音様を信仰し、後にそろって参拝したと伝えられます。この堂には、銅造十一面観世音菩薩、脇侍不動明王、地蔵菩薩立像の3体が収められ、これらは鎌倉時代の鋳像として東北地方においても珍しく、国の重要文化財にも指定されています。
常福院薬師堂は、田子重兵衛道宥法印の開山と伝えられることから田子薬師堂とも呼ばれます。唐様建築の特色が現れる堂もまた国の重要文化財・建造物としてその貴重な価値が認められています。本尊である木造田子薬師如来座像は、像高174センチの大座像で、その穏やかな表情が人々の心を強くひきつけています。
ほかにも佐賀瀬川の興隆寺に木造大日如来座像が、立行事稲荷神社には金鈴が大切に守り伝えられています。