新鶴村の野仏 -001/055page
序 文
会津の山河は、たいして変らないけれども、住民の生活様式が著しく変化し、本村に於ても農業の近代化を図るために、県営圃場整備事業が実施され、それらに伴い先人の日常生活に密着する身近かな生活文化財が失なわれつつあります。
部落の境や峠にあって、悪疫を防ぎ旅人の安全を守り、或は縁結びの神として信仰された道祖神。この夜は、つつましく眠らずに過どすと云う思想を信ずる庚申塔など……。
そこで新鶴村民俗資料専門委員長の渡部重夫氏が数年前からその消滅を恐れ、資料の集収につとめ、それを同専門委員の方々のご協力を得て、今般上梓のはこびになりました。この本は、先人の生活様式の一端をうかがい知る貴重なものであります。
ここに渡部重夫氏の永年にわたる集収に対し敬意を表しますと共に、ご協力下さった専門委員の皆様方に深く感謝申し上げまして序文と致します。
昭和六十三年 節文の日
新鶴村教育委員会
教育長 鈴木 喬