新鶴村の野仏 -053/055page
あ と が き
公民館長 高 羽 芳 満
或る日突然、それは確か昭和六十一年の夏だったと記憶しておりますが、民俗資料専門委員長の渡部重夫さんから、「村の野仏がだんだんなくなって来ている……。何んとか写真を撮って記録に残しておきたいが、ついてはいろいろ相談に乗っていただけまいか」と云われて、分厚い封筒から膨大な野仏の写真を見せられたときには、正直云ってびっくりしました。
それは私たちの村にこんなに沢山の野仏があったことを始めて知ったことと、そしてまた、その素朴な姿を一枚一枚実に丁寧に撮していたからです。見終って私は只々感嘆するばかりでした。
そして、これは後世に残る大変な仕事だ……そう思うと私まで興奮したのを覚えております。
それから、民俗資料専門委員の皆さんが、渡部委員長さんの指導のもとで、お互いに励まし合いコツコツとすすめて釆たのはど存知のとおりであります。
そして、いろんな過程を経て、ようやく今年の二月、総編集の段階に入り、渡部委員長さんを中心とした委員の皆さんの手によって見事に編集がなされたのです。朝から寒い公民館の二階の大広間で、丹念に写真や資料を並べながら、一生懸命編集をされていたのを忘れることが出来ません。
とにかく、いろいろ苦労をされてのこの度の発刊、渡部委員長さん始め委員の皆様にも、胸にジンとくるものがあることでしょう……。
改めて皆様のこれまでのご努力に対し、深い敬意を表しますと共に、このよろこびを分ち合いる私たちも、また望外の幸せと思うのであります。