金山町町勢要覧 -008/026page
妖精が棲むまち、金山3 川に暮らす
森から生まれ出た小さな沢は、やがて大きな川となる。悠々と流れる只見川は、金山に暮らす人々とともに悠久の時を刻んできた。
川のほとりにおだやかに暮らしてきた人々
たくさんのブナやミズナラが繁る森は、雨や雪をしっかりと受けとめる、いわば天然のタンク。落ち葉のなかに静かにしみ入った水は、小さな沢となって 流れをつくり、新たな沢と出会い、やがて川となり、只見川へと流れ込んでいくのです。そうした川の畔にも、金山町の人々の暮らしが息づいていきました。 小さな沢一つひとつも、悠々と流れる只見川も、金山町の人々の暮らしとともにあったのです。
人々が大切にしている滝があります。それは、御神楽岳のふところにある幻の滝群です。雪どけや梅雨などの増水の時期には、二十三メートルの瀑布や、全長 三百メートルもの長大な滝が出現します。また、滝沢川の急流にあるおう穴群は、長い歳月をかけて刻まれた岩の回廊です。階段のような小さな滝や、奇岩・ 怪岩が渓谷美をつくりだす景勝地となっています。
たくさんの魚を育む美しい川の流れ
川面をじっと見つめてみてください。沢の石の間をそっとのぞいてみてください。金山町の川や沢には、どこでもたくさんの魚や水棲動物が動き回っているのに 気づくでしょう。イワナやヤマメ、アユやハヤものびのび泳いでいます。春四月には渓流釣りが、七月にはアユ釣りが解禁。川には静かに釣り糸を垂れ、水と対話 するかのような釣り人たちの姿が目立つようになります。
もちろん、釣りだけでなく、川遊びに興じる子どもたちをよく見かけるようになるのもこの頃。流れを眺めながら遠くに聞く子どもたちの声は、まるで妖精たちの おしゃべりのように、まちのあちらこちらに響いています。