鮭立磨崖仏 - 006/135page

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虚空を堂宇として岸壁のみ仏

 国道二百五十二号線より横田で分かれて、只見川の支流山入川沿いの県道、横田―布沢線を約五キロ溯ると鮭立の集落につきます。集落の西南方、集会所の背後にある石田山の山裾には、地元では『ゆう』とよんでいる窟があり、その中には会津でただ一ケ所、ここだけにある磨崖仏群があります。細長いゆうの中には、不動明王を中心とした大小さまざまの像が五十一体彫られていて、小さな曼茶羅(マンダラ)を作っています。尊像は像高が十四センチから六十センチまでの半肉彫りのもので、どの像も仏像をつくるきまりに従った美術的にみても見事な尊像です。火炎光を透かし彫りにしてそのなかに像を刻む等、高度な技術がつかわれています。各尊像についてはあとでのべますが、明王、天部、垂迹部の尊像が多く、このような磨崖仏群は福島県では鮭立だけであり、実に貴重なものです。

 磨崖仏とは、岩や岩壁等に仏像等を彫刻して信仰の対象としたものをいいます。

 原始仏教では仏像はありませんでしたが、象徴として菩提樹や法輪を刻みました。仏教


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