鮭立磨崖仏 - 048/135page
F-A ― 矜羯羅童子(こんがらどうじ)
矜伽羅童子とも書きます。不動明王には、不動八大童子といって明王の使者をつとめる八人の童子がいます。その中でも矜迦羅童子は、制多迦童子と共に明王の左右に配置された、いわゆる不動三尊の一員として親しまれています。梵語のキンカラは翻訳すると随順というようですが、不動明王の命令はなんでもすぐ実行する忠実な童子で、また不動明王の智慧のはたらきを司どるとも説かれています。
一般には、合掌して指の間に金剛杵(こんごうしょ)を挾むものと蓮の華をもつものとがありますが、体の色は白色であらわすことになっています。
鮭立の磨崖仏では岩肌の白いところをうまく利用して白色身をあらわした、蓮華をもっているお姿です。岩がやわらかいので風化しているのが残念です。会津若松の滝沢には可愛いらしい二童子をともなった形をした不動三尊像があります。