鮭立磨崖仏 - 060/135page

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K ― 聖観音(しょうかんのん)

 観音菩薩はいろいろに身を変えてあらわれるとされ、十一面観音、千手観音、如意輪観音というような、顔や手足の多数ある観音も見られます。それらの変わった姿と区別して基本的な姿の観音を聖観音といいます。

 聖観音の持物(じもつ)は蓮華や水瓶が多いのですが、鮭立の場合は蓮華です。半開きでまだ開ききってない蕾の蓮の花を未敷(みふ)の蓮華といいますが、これは、衆生つまり生きとし生けるものが本来もっている仏となるべき性質が、開ききっていないことを意味していて、衆生の仏性を観音菩薩が開かせてくれるということです。

 修験道では観音が広く信仰されていますが、特に聖観音、十一面観音、千手観音が重視されていました。熊野那智山や日光二荒山などは、観音菩薩のすまいのある補陀洛山(ふだらくさん)に見たてられ観音信仰の霊場になっています。それで西国三十三番は、那智山の青岸渡寺を第一番の札所としています。


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