鮭立磨崖仏 - 088/135page
― 飯縄権現(いづなごんげん)
秋葉山には秋葉三尺坊がまつられています。三尺坊は、母が観音菩薩を信仰していて、観音が迦樓羅身という強い鳥になる夢をみて孕んだとされており、生れた子は仏門に入り越後長岡在の地蔵堂十二坊の一つである三尺坊の坊主になりました。不動三昧の法というのを行ったところ、七日目の朝、両脇に翼が生えて鳥の形になり、飛行自在の法力を得て手に索をもち白狐の背にのって、遠州(今の静岡県)秋葉山へ飛んで行ったというのです。
こうして、秋葉寺の鎮守神となりました。
火難、水難、剣難を防ぐことに長じているのですが、特に火伏せの法は特技としているので、今でも消防関係者の信仰を集めています。
三尺坊は十年も参禅したことがあるので曹洞宗と関係が深く、秋葉山とつながりの深い可睡斉という寺を兵火より救ったといいます。飯縄権現とも秋葉様ともいいますが、川口では現在でも秋葉講という講を結んでおり、防火を願って続けられています。
お姿は、烏天狗の顔をして、右手に剣、左手に索をもち、翼を張って狐の背に乗っています。光背は火焔光です。狐が少し欠けているのは残念ですが、彫りもよく塗料も残っています。
県内ではこゝのほかは、まだ報告されていないようです。