鮭立磨崖仏 - 102/135page
― 地蔵菩薩(ぢぞうぼさつ)
幼児が死ぬと賽の河原に集って石を集めて供養の塔を積みますが、夕暮れどきになると鬼がやってきて突き崩します。そこへ地蔵菩薩があらわれて幼な児を救うという話があります。地蔵和讃の物語りですが、これだけをきくと地蔵菩薩は子供を救うほとけかと思われそうですが、これは地蔵菩薩のお仕事の一部なのです。お釈迦さまがなくなられてから五十六億七千万年ののちに、弥勒(みろく)菩薩があらわれて人々に法を説かれるというのですが、それまでの間ほとけに代って法を説くためにお出になったのが地蔵菩薩です。
地蔵菩薩はその任務のため六道をかけめぐって、どこへでもあらわれて人々を救うというたいへん忙しい菩薩です。現世の苦しみや悩みをとり除いて願いごとをかなえて下さるばかりでなく、死後の世界まで慈悲の手をさしのべて下さるというわけです。だからどこの村へ行っても地蔵菩薩のお姿は見られます。またご利益によって子安地蔵、とげぬき地蔵、身代り地蔵等々数多くの名前をもっています。
お姿は僧形で、錫杖と宝珠をもっています。