昭和村勢要覧 -005/024page
自然との共存
昭和の色●自然を愛し自然と共に暮らす人々。
◎冷湖の霊泉
青々と苔むした岩の間から落ちてくる、細く白い滝のような流れの清冽な清水。昔むかし、このあたりの住民が日照りの水不足で困っていたところ、名主の夢枕に御神楽岳の天狗が現れて、水のお告げをしたという天狗伝統が残る。
◎矢の原湿原
昭和村の東に位置し、11ha・1周約30分、高層・低層の2つで形成されており、約8万年前にできたといわれる日本で2番目に古い湿原。280種の多彩な植物と珍しいハッチョウトンボの生息地として福島県自然環境保全地域に指定されている。
周囲を山でかこまれた昭和村 には、四季それぞれに色があり ます。春は水色。雪解けの季節 をむかえて活発になってくる生 き物たちの生命活動。その命を ささえる水は、昭和村の天然の 財産。村の各地には湿原や渓谷・ 池のほかに、その土地に暮らす 住民が疲れをいやす飲料用水、 あるいは生活用水がふんだんに あります。
夏は緑。山々の向こうに力強 く沸き上がってくる入道雲を遥 かにのぞみながら、ぐんぐんと 成長し、丈を伸ばしていくから むしの緑は、生命のすばらしさ を教えてくれます。
夕暮れはあっという間に陽を 傾ける秋。錦に彩られた山に投 げかける金の光は映えて、学校 帰りの子供たちも、みんな光の 中に。
白・白・白。冬が訪れた昭和 の里はこの一色に埋め尽くされ ます。来る日も来る日も雪に閉 ざされる日が続くこともありま すが、この白が本当は暖かいこ とを、村人たちは知っているの です。
東にはブナ原生林を懐に、会 津盆地を眺望できる標高1482 メートルの博士山が、村の南 には国指定の天然記念物の「駒 止湿原」があり、四季折々の珍 しい植物が見られるなど、自然 に彩られた豊かな村なのです。
◎御前ヶ岳
名前の由来にちなむ、伝統の山。平安時代末期、政争に敗れた後白河天皇の第二皇子・高倉宮以仁王が都よりこの山を通って落ち延びたおり、親王を慕って後を追った妃の紅梅御前が、しばしこの地に滞在したといわれている。
◎綱木渓谷
村のメインルート・国道400号に沿って流れる野尻川は太公望の訪れる釣りのメッカ。四季の彩り美しい綱木渓谷は村の北端にあり、奇岩怪石がそびえたつ景勝地だ。