舘岩村要覧 -005/028page
ダイタンボウの詩が聞こえる。
たていわのゆとり空間はメルヘン型
ドングリの実のなる木の仲間は、温帯の落葉樹がナラ、暖帯の常緑樹をカシと称しています。落葉の森のブナ帯付近のミズナラはタテ縞の厚い樹皮をつけビアダルの木として有名。コナラは、里山に多く暖温帯に広く分布します。
*ダイタラボツチは、里言葉でダイタンボウ。大胆坊とも表記されている。この巨人は、隣町の田島でデデンボ、会津盆地で手長足長などの名で語り伝えられ、東京杉並区の代田橋はダイタボッチが架けた橋とか…。東日本の伝説の発信拠点は、関東で最も古く拓かれた地域の一つ埼玉県の大宮高鼻の地、武蔵国一ノ宮・氷川(火の川?)神社あたり。友好都市・大宮市と舘岩村の交流のゆかりは深いらしい。この巨人伝説は夕タラ→ダイダラ→ダイタラ法師と連想させる、夕夕ラ(踏鞴)−製鉄炉または足踏みフイゴにまつわる古代の産鉄文化に由来するともされ、中央アジアの工業地帯・タタール地方=tatar(猛火の意)の名が語源ともされる。火山列島日本はニュージーランド、カナダとともに世界三大砂鉄山地。
朝霧に包まれた帝釈山脈の彼方は、車で195km、電車で3時問30分、昼間人口が3,000万人。人口密度1万人/km2を超す首都圏の中核都市群。都会の喧騒のただなか。村里が賑やかになる夜間人□密度9.7人/km2の舘岩村はまるで別天地です。
山腹や尾根、渓谷に、巨岩がタケノコのように突き出す山村。のどかなメルヘンの世界です。
電脳時代が目指すのは、感動の受発進!キイをたたいて『舘岩らしさ』を発信するのは、村名発祥にまつわるメルヘンリポートです。 立岩−高十五丈周十八丈計屏風をたてたるが如し、村老の口碑に此岩むかし一夜に涌出す、郷名の由て起る所なりと云、多く岩茸を産出す、これを取ば必雨ふるとぞ
逆岩−高八丈周四十二丈餘、相傳て立岩涌出せしきと神ありて是を蹴折り此處に倒置せり故に此名ありと云
これは、会津藩が江戸幕府に報告した風土記の立岩郷よもやま採録の一節です。
天地創造の神とも伝えられ、火の山の国・日本の古代の民俗の謎を秘めた巨人伝説のぬし・ダイダラボッチ。舘岩村は大昔、この妖怪の棲みかだったと語り継がれています。
ある晩、むくむくと巨岩が出現したのに驚きあわて、プライドを傷つけられて怒ったダイタンボウが、思い切りけとばしたところ、岩の頭がポキリと折れてふっ飛んだという…。この「立岩」が村名の由来。ひどい仕打ちにあった岩が真っ逆さまに落下したのが、5kmほど離れた山腹にそびえ立つ逆さ岩とか−。「立」の表記は、多くの謎に包まれた舘(やかた)の意に転じたりします。
21世紀は、『舘岩らしさ』を感じるゆとり空間を創る時代。ココロ重視の自由時間づくりが求められる今こそ、わたくしたちは、村名伝説にまつわるエピソードのほのぼのとした痛快さの中に、ゆとりとうるおいに満ちた心豊かな郷土づくりの英知を学びます。