小高町町勢要覧 -005/012page
ODAKA TOWN ◎自然・文化
小高に吹く さわやかな風が、豊かな心を育み、香り高い文化を生み出す。
青い海と光輝く太陽、 そして幾重にも連なる阿武隈の山々。
春夏秋冬、 四季折々に美しい表情を見せる小高の街並み。
ここ小高には、 悠久の時を超えて受け継がれてきた伝統文化が鮮やかに息づいている。海、山、川 四季折々を彩る小高の自然
西に阿武隈山地、東に太平洋。小高は自然豊かな町。海ならば、村上海浜公園。海水浴場はもちろん、キャンプ場など、自然に親しむ設備が整っている。山ならば、八丈石山。小高町と太平洋が一望のもとに見渡せる。白鳥が飛来する前川浦、緑のなかを優美に流れる滝平の滝、県指定天然記念物の大悲山の大杉や星神社の大杉、そして、同慶寺の大銀杏などが、小高町の自然の豊かさを雄弁に語りかけてくる。
小高の大地に息づく歴史遺産の数々
この自然のなかで、小高町に暮らしてきた人々がどのような文化を育んできたのかを見せてくれるのが、各種の文化財。たとえば、大悲山の薬師堂石仏と阿弥陀堂石仏、そして観音堂石仏は国の史跡に指定されている。藤原時代の石仏としては東北唯一の半肉彫り磨崖仏群で、大分県臼杵、栃木県大谷の磨崖仏とともに日本三大磨崖仏のひとつに数えられている。このほかにも県指定重要文化財「大悲山文書」や相馬家の「大名家婚礼調度」、県指定重要有形民俗文化財「相馬野馬追額」など、小高町の歴史を証言する文化財がいまに残る。
偉大な文学者を育んだ小高の大地
小高町は、埴谷雄高と島尾敏雄という現代に誇る文学者ゆかりの地でもある。
相馬家臣団の子孫であった埴谷は代表作「死霊」で現代文学に巨塔を打ち立てた。 「死の棘(とげ)」などの名作で知られる島尾は、両親が小高町出身だった。小高町に縁を結ぶふたりの作家の業績は、浮舟文化会館内の「埴谷・島尾記念文学資料館」で見 ることができる。
島尾 敏雄(大正6年〜昭和61年)
小説家。「 出弧島記」で第―回戦後文学賞等を受賞。「硝子障子のシルエット」で毎日出版文化賞を受賞。 「幼年記」「夢の中での日常」などの著作がある。埴谷 雄高(明治43年〜平成9年)
小説家。「闇の中の黒い馬」で谷椅潤―郎賞「近代日本文学の中心人物といわれている。天野 秀延(明治38年〜昭和57年)
「死霊」で日本文学大賞受賞。音楽家。「現代イタリア音楽」で芸術選奨文部大臣賞を受賞。小高町民の歌や福島県内各地の小中学校の校歌を作曲。