おだか 通行手形 -005/014page

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おだか昔話し

大悲山の大蛇と琵琶法師

自分の命は惜しい、村人の命も大事、琵琶法師の心はゆれた。


 その昔、南北朝時代の頃、琵琶の名手で玉都(たまいち)という目の不自由なお坊様が いました。玉都は目がよくなりますようにと毎晩大悲山薬師堂で願をかけておりました。
 いよいよ満願という日の夜、近くの沼の主だという大蛇が若侍に化けて現われ玉都の 美しい琵琶の音を聴かせてもらったお礼にと、ひとつの話をしました。それは、大蛇の 夫婦は沼がせまくなったので「明日から七日七晩大雨を降らし、小高郷一帯を大沼にして 大蛇から竜に化身する。そのあかつきには玉都を小高郷の殿様にし、目も見えるようにして やろう、だが他人にこのことを言えば命はない」と告げました。
 その話の一部始終を聞いていた薬師堂の観音様は、へびの体を腐らせ、その魔力を失わせる 「鉄の釘」をたくさんつくり、大蛇の住む沼の岩に打ちつけるようにと玉都をさとしました。 玉都は念願の目が見え、小高郷の殿様になれることに一時は心を奪われましたが、 仏に仕える身であることを思い起こし、観音様の教えを小高城の殿様(相馬重胤公の子光胤公) に知らせたのですが、その帰り道小高川の橋のところで化身した竜に命を奪われてしまった ぬです。
 その後殿様は、家来たちに「鉄の釘」を沢山つくらせ、大悲山の蛇巻山周辺の沼の岩 に釘をうち、竜を退治したのであります。これは玉都の捨て身の進言によって、大雨の 洪水から沢山の人々の命と小高郷が救われた。という物語です。

参考文献 (奥相志(泉沢村)「大悲山大蛇記」ほか)

 伝説にまつわる地名が地元に数多く残り、薬師堂・蛇巻山には、 歴史と自然を満喫できる「大悲山大蛇物語公園」を中心として、 大悲山太鼓、大蛇踊り等も観光の一部とし、新しいまちづくり を目指しています。


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