探検、発見 すてきな浪江町-029/077page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

・浪江のむかし話・1
○なまけ者の小僧が仏さまどろぼうを見やぶった話
そのむかし、きよはし地区にある、だいしょう寺に小僧が一人おった。小僧とは、しゅぎょうのためにお寺に入門して、お坊さんになるための勉強をする小学生くらいのまだ小さな子どものことを、そう呼んだのである。
小僧の仕事は、毎朝本堂のお不動様にご飯とお水をお供えすることじゃった。
ところがその小僧は、たいそうなおうちゃく者で、お水をおそなえすることをめんどうがって、お不動様の顔に指でチョンチョンと水をかけておしまいにしておった。
だいしょう寺のこのお不動様は、たいそう古いもので、ある時、いたんだ本体をしゅうりすることになった。
ひと月ほどたって、お不動様はしゅうりからもどってきた。ところがこのお不動様、お参りに来た人の話から、どうもごるやくがないと評判になってしまったそうな。
こりゃ変だと思ったおしょう様が、ある晩小僧に、「うちのお不動様は、どうかしなすったんだろうか。ちっともごりやくがなくなってしまうなんて、変なことがあるもんじゃわい。」と話すとなんと小僧は、
「そりゃ、おしょう様、あのお不動様はにせものですもの。ちっともごりやくなんてありゃしませんよ。本物のお不動様はわたしが指で水をかけると、いつも目をばちりさせていましたよ。今はちっとも目をぱちりなんてさせやしませんもの。あれは、しゅうりするときにすりかえられたにせものですよ。」
実は、しゅうり先で、こっそりと取りかえられていたのでした。小僧の話で、取りかえた悪者はつかまえられ、本物のお不動様は無事にもどって来たそうな。
いらすと

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は浪江町教育委員会に帰属します。
浪江町教育委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。