探検、発見 すてきな浪江町-061/077page
一浪江のむかし話・2
○かめのしっぽが切れたわけ
むかし、幾世橋地区のおはかに、仏様を乗せて飛んでいたというかめがいた。このかめはいつも仏様の近くにいて、大きな石柱を背甲に乗せていた。
おはかの近くに、古くから続く大きな酒屋があった。夏のあるばんのこと、おかしな大男がのっそりとこの酒屋に入ってきて、お酒をたくさん買って行った。主人は、近くに法事でもあるのかと思い、売ってやったが、その男は毎ばんやってきては、たくさん買って行く。
きみょうなこともあるものだと思い、ある夜、主人がこっそり後をつけて行くと、なんとその大男は、おはかのかめで、仏様のそばにすわっては、ぺろりっぺろり、と舌なめずりをしながらお酒を飲んでいるではないか。
びっくりした主人が、村の若いしゅうに相談をした。最初はこわがっていた若いしゅうだが、「よし、おれが行って、しっぽを切り落として動けないようにしてやる。」
と言って、昼間のうちに石のかめのしっぽを切リ落としてきた。
それ以来、この酒屋にはぷっつりと大男はこなくなったそうな。
今も、だいしょう寺うらのおはかにはしっぽを切り落とされた、石のかめがいる。