自然観察ガイドブック曰山の自然 -001/031page

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1 曰山の植物           

曰山の植物

ふるさとの山

 阿武隈山地は、そのおだやかな準平原の地 形からして、古くから人々の開発利用を受け て来た。

 われわれの利用する熱源は、今でこそ石油 やプロパンガスであるが、今からほんの20年

曰山
[曰山] 山腹は古い薪炭林で覆われているが、こ れを切り開いて盛んに植林がおこなわれている。

ほど前までは薪や木炭が主力であった。とく に木炭の生産は山村の主要産業であり、草深 い山のなかの集落も、これをもって都会と対 等の経済的地位を保ってきた。阿武隈山地の 森林も、薪炭林として維持管理されて来たも のが多い。現在、産地の大部分を覆って繁茂 するコナラやミズナラの林は、みなこの薪炭 林のなごりである。

 また、現在では、動力源としてモーターや 各種のエンジンが広く利用されているが、今 から30年前ぐらいまでは、人力の及ばぬ所は 牛や馬の力に頼るのが普通であった。したが って、馬産は今の自動車産業に匹敵する重要 な産業であり、農村の主要な現金収入の道で もあった。特に、駒と呼ばれる常用の馬は、 昔は重要な兵器であり、その生産は国や藩の 力の指標であったから、馬産の振興は国策の 一つとして協力に進められた。当時の農村は、 現在の出稼ぎに頼る農村とは異なり、いなが らにして国の基幹産業のにない手であり、活 気に満ちたものであった。

 馬といっても、当時の馬は今の競走馬と異 なり、飼料は野草が主であった。この野草資 源として、わが国の山地ではいたる所で草地 経営が行われた。それは現在の改良牧野では


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