亜欧堂田善作品集 -001/065page

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ごあいさつ

 江戸時代の須賀川は奥州街道の要衝の地として栄え、物資の集散や文人墨客の交流が盛んに行われ、 経済的にも文化的にも繁栄をきわめていました。元禄2年(1689)、おくのほそ道行脚の途次訪れた 芭蕉が8日間も滞在したように、俳諧をはじめとして高度な町人文化が花開いておりました。

 特に、江戸時代を代表する洋風画家・亜欧堂田善は、繊細優美な風景銅版画を完成いたしました。 文化7年(1810)のわが国最初の官製による銅版画世界地図『新訂万国全図』の完成は、文明開化 に大きな役割を果たし、また、『医範提綱附図」の解剖図は、わが国西洋医学の黎明に画期的 な貢献をいたしました。

 亜欧堂田善は須賀川を語る際、第一に挙げられる人物でありますので、当館としましては 昭和45年の開館以来、作品の収集、保存に努めてきました。
 昭和51年、須賀川市諏訪町の医師・太田宏一氏が祖父貞喜氏の収集した亜欧堂田善の銅版画等 の資料を当館に寄贈されました。これらは当市の文化、歴史資料としてばかりでなく、 わが国洋風画の研究の上からも極めて貴重な資料であります。昭和61年、福島県教育委員会は 「太田貞喜の亜欧堂田善コレクションーを高く評価し、県重要文化財に指定されました。
 その後、市原良彦氏、安藤梅子氏、矢部尚一氏、柳沼甚四郎氏、高久田金三郎氏の各氏より銅版画、 木版画、素描、銅版画制作用具、日本画等々の作品、関係資料のご寄贈をいただきました。

 そして、亜欧堂田善生誕250年記念の平成10年に、特別展『江戸の和蘭人 亜欧堂田善』を、 東京国立博物館をはじめ多くの博物館、美術館、ご所蔵家の皆様のご協力をいただき開催すること ができました。当市にとりましては誠に意義深いことでありました。
 当館といたしましては、これを機会にあらためて、今後とも亜欧堂田善関係資料の収集、 保存に一層の努力をいたす所存であります。

 このたび、開館以来収集、保存してきました亜欧堂田善の作品、関係資料の図録を須賀川 市立博物館調査研究報告書第12集として刊行することといたしました。 この報告書が亜欧堂田善の芸術を理解するうえで、その一助となれば幸いであります。

   平成13年3月      須賀川市立博物館長  横山 大哲


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須賀川市立博物館の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。