亜欧堂田善作品集 -005/065page
銅版画
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陸奥国石川郡大隈瀧芭蕉翁碑之図
句集『青かけ』の挿図
文化11年甲戌(1814年)
紙本銅版・冊子
21.7×28.6
右に:「陸奥國石川郡大隈瀧芭蕉翁碑之圖 文化十一年甲戌五月 亞歐田善製」
(太田貞喜コレクション 県重文)
大隈(おおくま)の瀧は 名に負う阿武隈川の流れ
にして 掛涯(かけがい)よりみなぎり落ちる飛泉 その
幅百聞にもあまれり 国々名高き瀧
も多かれど かくはたはり(端張)の広きはさらに
きゝも及ばず そこに翁(おきな)の句あり
この句おくの細みちにのせず
のちにしのふ摺といふ集にあり
さいつ頃(先き頃)人々を催して
かの句を石にえ(彫)りて 川の傍らに建たり
そのけしきことばにも及ばぬは 田善翁(でんぜんおう)に
あつらへて 西洋の銅板といふものに 真景を
うつさしめ 我辺境に是らの風色ある
事を知る人稀(まれ)なれば よき序(ついで)と
おもひて世の人に披露す(句集『青蔭集』より抜粋)