青津保壽刀装具コレクション -001/147page

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 序  文

 須賀川市立博物館の刀装具コレクションは、市内馬町に在住された青津保専氏が、 大正時代初期(1912年)から70年にわたって収集一研究された鐔(つば)、小柄(こづか)、笄(こうがい)、目貫(めぬき)、 縁頭(ふちがしら)などのコレクション624点を、昭和56年(1981年)須賀川市に寄贈されたもの です。
 本コレクションは、鎌倉時代から江戸時代までの逸品をそろえ、鐔の系統、金工 家の系図を網羅した刀装具コレクションで、全国屈指のものと高い評価を受けてい ます。
 これらの刀装具をみますとき、今更ながら青津氏の炯眼と地域文化の振興のため に、貴重な資料を寄贈されたその御好意に対し、深い敬意と感謝の思いを新たにす るものです。

 日本の刀装具は刀剣とともに歩みました。古墳時代後期の6、7世紀ごろに作られ たと考えられる、わが国固有の「頭槌大刀(かぶつちのたち)」があります。この大刀に金銅製の倒卵形(とうらんがた) をした鐔が付属していますが、これに梯形(ていけい)の透かし彫りを施したものや、地に線刻 の文様や金、銀の象族を施したものがあります。このような鐔はわが国独特のもの で、ここに日本の鐔工芸の源をみることができます。
 刀装具には、鐔、小柄、笄、目貫、縁頭などがありますが、それらが組み合わさ れてはじめて刀装の美しさを発揮します。刀装具の中にあって鐔は特に見どころが 多く、鐔一枚をとっても素晴らしい美術工芸品として鑑賞されています。

 このたび、須賀川市立博物館開館30周年記念収蔵資料企画展「武士の装い 刀装 具の世界」の開催にあわせて、『青津保壽刀装具コレクション』の図録を刊行すること といたしました。
 本書が、日本の美の一典型である刀装具の芸術を理解するうえで、その一助とな れば幸いであります。

 2000年10月
 須賀川市立博物館長 横山 大哲


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