福島県水産試験場研究報告 第10号 - 054/073page
域で量的に卓越してして分布すると示唆されている12)。また、ミツクリハマアミ個体数比率が低かった水深帯ではアミ類密度も低かったが、以前の報告でも採取数の少ない調査点においてはミツクリハマアミより大型種が優占している場合が報告されている11)。これらのことは今回の結果と一致する。
以上から、着底後あるいは放流後におけるヒラメ稚魚の主餌料という点でアミ類の重要性が増す時期は夏〜秋であり、この時期に水深5m帯を中心にアミ類密度が高くなり、その密度を左右している種はミツクリハマアミと考えられた。
要 約
福島県双葉海域でヒラメ稚魚餌料環境調査を行い、アミ類の出現と分布特性をまとめた。
1.アミ類密度
1995〜2000年のアミ類密度は、調査した3水深帯(5m、10m、15m)では、最も浅い水深5m帯で最高となった。アミ類密度が高くなった時期は5〜9月にみられ、夏季を中心に高密度となった。2.ミツクリハマアミ個体数比率
1998〜1999年のミツクリハマアミ個体数比率は3水深帯(5m、10m、15m)とも80%以上で推移した。2000年にはミツクリハマアミ個体数比率が80%未満となった月もあった。3ヵ年を通じて7〜8月にはミツクリハマアミの個体数比率が90%以上となり、高密度で分布する優占種と考えられた。文 献
1) 北隆館:新日本動物図鑑、[中]、1965、524pp.
2) 南 卓志 ヒラメの初期生活史、日水誌、48、1581-1588(1982).