福島県水産試験場研究報告 第10号 - 067/073page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

(2)コンポジット解析

 解析に用いた期間は、スコアの標準偏差が±2.736であり便宜上±3以上を示す期間とし(表1)、この期間の東北海区における各観測点の平年偏差を平均して合成図を作成した(図8)。正スコアの大きい期間の合成図は、東北海区全体が正偏差で水温が高めであった。特に、三陸中部から常磐南部の偏差が大きかった。負スコアの大きい期間の合成図は、東北海区全体が負偏差で水温が低めであった。特に、三陸中部から常磐南部の負偏差が大きく、正負の期間でまったく逆のパターンとなった。

表1

図7   図8

3.第2主成分の解析

(1)事例解析

 第1主成分と同様の手法で、第2主成分のみが大きい年を選び(正年:1988、1991年、負年:1989〜1990年)、海況パターンを比較検討した。正年(1988、1991年)は、黒潮続流が当県沿岸域を迂回するように北上し、142°E以西では36°40´N〜37°10´N付近に位置した。1988年6月は三陸沖に大規模な暖水塊が存在し、1991年6月は沖合から三陸中部に黒潮系暖水の波及が見られ、これらの影響で親潮第1分枝から離切された小規模な冷水域が三陸南部に見られた。一方、負年(1989〜1990年)は、黒潮続流が142°E以西では38°N近辺に位置した。1989年6月は、親潮系冷水の南下を阻むように黒潮系暖水が沿岸部まで波及し、1990年6月は三陸南部に小規模な暖水域が存在した。また、第1主成分と大きく異なる点は、三陸海域に暖水塊、三陸南部〜常磐北部海域に暖水域、冷水域が存在したことである。

 当県の鉛直水温・塩分図に、正負両年のうち特徴的な事例が見られた正年の199l年6月と負年の1989年6月を図10に示した。水温では、100m深で見ると正年(1991年6月)の塩屋埼定線では、8〜13℃台で10℃等温線は比較的下層まであったが、富岡、鵜ノ尾埼定線では8℃台


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県水産試験場に帰属します。
福島県水産試験場の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。