平成13年度 事業報告書 - 007/171page

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3 アワビ市場調査

佐藤太津真*

目     的

 各地先で漁獲されるアワビの殻長と放流した人工種苗(放流貝)の混獲率を継続して調査し、その地先におけるアワビの資源状態と人工種苗の放流効果を把握する際の基礎資料を得る。

方     法

 平成13年5月〜9月の漁期間中にいわき地区の主要5地先(小浜、下神白、永崎、豊間、薄磯)において、漁獲貝の殻長と放流貝の混獲率を調査した。殻長はノギスで測定し、放流貝の混獲率はワイヤーブラシで貝殻の螺頂部をこすり、人工種苗特有のグリーンマークが認められるものを放流貝、それ以外のものを天然貝として区別することで求めた。ただし、螺頂部が容易に剥離できない付着物で覆われていたり、ポリドラ等の穿孔により表面が欠落しているものはデータから除外した。標本の抽出は漁業者の中から数名を無作為に選び、その漁獲物を全数調査する方法を採用した。

結     果

 放流貝の混獲率は表1のとおりである。各地先の混獲率は小浜65.3%、下神白59.2%、永崎73.7%、豊間42.9%、薄磯67.2%であった。平均混獲率は62.1%であった。

 漁獲物の平均殻長は下神白地区が他地区に比較して明らかに大型であり(表1)、漁獲物の最小の殻長も他地区に比べ大きかった。また、この傾向は小浜地区にも見られ、これらの地区ではスキューバ潜水による漁獲であった。図1に各地先の放流貝、天然貝の殻長組成を示す。殻長組成は放流貝、天然貝の間で特に差は見られていない。


*現 水産課

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