平成13年度 事業報告書 - 010/171page
4 地先型増殖場調査
佐藤太津真*・斎藤健
目 的
地先型増殖場の磯根漁場としての現状を把握し、海藻増殖のための検討資料を得る。
方 法
(1) ウニ生息密度調査
平成14年2月27目、増殖場内の図1に示す5定点を定め、それぞれの定点からラインを50m沖出しし、各ライン上10m間隔に設定したラベルを中心にlm×lm方形枠で4カ所、計4u内に生息するキタムラサキウニ個体数を計数した。
(2) コンブ養殖試験
平成13年12月7目に図2に示すとおり地先型増殖場内の3型嵩上礁の間にコンブ養殖用ロープを設置し、月1回の割合でスキューバ潜水して観察を行った。
結 果
(1) ウニ密度調査
ラインごとの調査結果を表1に、定点からの距離(水深)別の結果を表2に示した。ライン別の調査結果ではπブロックの外部よりも内部で生息密度が低かった。また、距離(水深)別の分布では沖ほど密度が高かった。増殖場内の平均密度は1.54個/uで、昨年同時期の結果2.51個/uよりも低かった。
(2) コンブ養殖試験
設置1ヶ月後の平成14年1月12日には約2cm程度のコンブ幼体が観察された。観察された部位はロープ幹糸から余った種糸の部分のみで、幹糸からの成長は目視では認められなかった。
2ヶ月後の平成14年2月7日には成長の良いもので10cm程度に成長していたが、発生部位は1ヶ月目と同様、種糸の余った部分からであった。
3ヶ月後の平成14年2月27目には幹糸からも発生が見られ、成長の良いもので30cm程度まで成長していた。また、成長している場所としていない場所での差が激しく、養殖ロープのうち、ナダ側の嵩上げ礁に近い部分ほど発生本数が多く、成長も良かった。これは、水深がより浅いため、照度が得られるためと考えられた。ロープの沖側は水深が深く自然の照度が得られないことに加え、砂等が巻き上げるため、非常に濁りやすく、常に薄暗い状態であり、周辺に海藻も見られていない。従ってコンブの生育に適合しにくい場所であると考えられたが、常磐海域においてはコンブは6〜7月まで成長するので継続調査が必要である。
*現 水産課