平成13年度 事業報告書 - 023/171page
2 さけ資源管理推進調査
斎藤健・佐々木恵一・江部健一・佐藤太津真*・冨山毅
目 的
福島県に回帰する秋サケについて、魚体測定及び年齢査定を行い、資源の的確な評価に必要な基礎資料を得るとともに、回帰予測データを収集するため、沿岸域における幼稚魚の分布及び生育状況調査を実施した。
また、新たにサケ稚魚の海面直接放流の有効性を検討するため、平成9年度に請戸漁港内に標識放流した稚魚群の回帰状況について調査した。
要 約
詳細は「平成13年度さけ資源管理推進調査報告書」に報告予定なので、本報告は13年度末日現在における主要結果の要約とする。
(1) 資源構成調査
ア 回帰資源量調査
平成13年度の秋サケ採捕尾数は約304千尾(対前年比184.2%)で、低い水準であるものの、昨年と比べ大幅に増加している(表1、図1)。採捕内訳は海面が約136千尾(対前年比174.8%)、河川が約168千尾(対前年比192. 6%)となっている。
海面漁獲の内訳は、定置網が66千尾(海面漁獲全体の48.7%)、刺網が68千尾(同49. 6%)で、この2漁業でほとんど漁獲されている(表2)。
河川遡上は、9月下旬から12月中旬にわたるが、遡上のピークは10月下旬で、単峰型回帰を呈している(表3、図2)。
イ 年齢組成調査
請戸川、木戸川、宇多川(以下「主要3河川」という。)をサンプリング対象河川とした。主要3河川での採捕尾数は約125千尾で、全河川に占める割合の74.6%となっている。今年度の主要3河川における年齢組成は、3年魚、4年魚で全体の約8割を占め、集中した回帰であった。
(2) 幼稚魚分布移動調査
平成14年3月〜5月に、新地町全面海域の距岸1〜5マイルにおいて、機船船ひき網漁業(サヨリ2そう曳き、船速4kt/h、1マイル曳き)により幼稚魚の採集調査を計画した。そのうち3月に調査を2回実施したが、いずれもサケ稚魚は採集されなかった。
(3) サケ稚魚海面直接放流の有効性の検討
平成10年3月20日に、泉田川荒井ふ化場で飼育した体重1gサイズの稚魚161千尾(標識着定尾数は116千尾)の脂鰭を切除して請戸漁港内に海面直接放流を実施しており、本年度は4才魚としての回帰調査を行ったが、標識魚は1尾も確認されなかった。
*現 水産課