平成13年度 事業報告書 - 078/171page

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U 沿岸漁業調査指導

1 漁場形成調査

1)ツノナシオキアミ漁場形成調査

早乙女忠弘・水野拓治・小野安芳
鈴木俊男・鈴木正剛・飛田義春

目     的

 漁業調査指導船「拓水」により本県沿岸に来遊するツノナシオキアミの漁場調査を行い、当業船に漁場情報を提供して操業の効率化を図る。

方     法

 調査船による漁場調査は、平成13年1月22日〜4月26日の間に拓水で24回実施した。調査方法は、魚群探知機による分布状況、調査海域の表面水温及びCTDを用いた鉛直水温、塩分の測定を行った。また、平成10年度に設定した2調査定線(37°10'N、37°20'N)及び勿来前36°50'N線の水深80、100、130、150、200mの定点において、海底直上までの鉛直水温・塩分をCTDにより観測した。

 調査中、無線通信により当業船に情報を提供するとともに、漁場調査結果、漁模様等をまとめオキアミ情報として発行した。

結     果

 調査船によるオキアミ調査結果の概要については、表1に示すとおりであった。併せて2調査定線の鉛直水温測定結果を表2に示す。

 1月は、水温は平年並みであったがオキアミ反応を確認できなかった。2月下半期は、県中〜南部にオキアミ反応が散見された。四倉〜富岡沖では薄い反応であったが、その後いわき海域を調査した結果、濃い中層群が確認された。3月上半期は、四倉〜富岡の沿岸部(距岸6海里付近)にオキアミの濃密群の反応がみられた。また、勿来沖にも濃い底群反応がみられた。3月下半期は、小名浜沖、塩屋埼沖にまとまった反応がみられ、第2原発前にも濃い反応がみられた。底付きの反応は少なく、反応のほとんどが浮群〜中層群であった。4月になると、2月〜3月に南下した親潮低温水の波及が弱まり、黒潮系暖水の勢力が強まった。その影響で、上旬にはいわき海域にみられたオキアミ反応が、下旬になるとほとんどみられなくなった。

 また、平成13年度に行ったオキアミ魚体測定結果を図1に示す。測定したオキアミは、いわき海域で漁獲されたもの及び底曳網の漁獲物胃内容物を用いた。1月のオキアミは15〜16mmにモードがあり、2月には15〜17mm、3月には17mmと成長した。4月は18mmにモードがみられたものと、17mmにみられたものがあった。さらに8月に測定したものは、19mmにモードがみられ、最大24mmに達していた。

 なお、平成13年漁期は、初漁日が3月10日、終漁日が4月23日、主漁期は4月上旬〜中旬であり、総漁獲量は約1,700t、平均CPUEは5.0t/隻/日で漁獲上限枠に達しないまま終漁した。

 オキアミ情報は、平成12年1月22日〜4月26日に24回発行した。


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