平成13年度 事業報告書 - 085/171page

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2 沖合底びき網漁業の漁具特性

水野拓治・八巻憲治

目     的

 沿岸底魚等の資源水準が低位に推移するなか、沖合底びき網漁業に対しては、資源の有効利用、さらには、資源回復のため、何らかの対策を必要とする声が強い。一方、沖合底びき網の漁具特性や漁獲効率等に関する知見は少なく、漁業者も網の製作に当たっては経験に基づく傾向にあり、科学的に裏打ちされた技術に基づくものではない。
 ここでは、過去2力年の成果を基に漁業者とともに水槽実験を行いながら、漁具の改良方法について検討した。また、「いわき丸」の漁具について、魚網監視装置によるデータ収集を行った。

方     法

 平成13年7月17日に、相馬原釜漁協青壮年部と共同で水槽実験を行った。また、「いわき丸」魚網監視装置による網高さ、網口幅、着底状況については、「いわき丸」の中間検査工事のため実施できなかった平成13年12月及び14年1月を除き、コンパウンドロープグラウンド(水中重量532kg)の漁具についてデータを収集した。なお、いわき丸のデータについては、平成13年10月以降、網口間隔のセンサー不調により、網口高さのみのデータ収集となった。

結果及び考察

(1) 水槽実験

 賀宝丸の漁具を中心に網なり等を観察した。また、相馬原釜で最近4隻に導入したSV型オッターの復元性など、水中姿勢を観察した。

 漁業者の感想として、網なりの良し悪しは漁具の製作に役立つということであったが、網の高さについての実験値は、実際の魚の入網状況を考えると違和感があるという感想であった。

 漁業者感覚と実験結果とのギャップについては、今後、「いわき丸」を用いた実際の漁具での測定実験を行うとともに、図面の再検討を行う。

(2) いわき丸底びき網の魚網監視装置による網なり観察

 網口高さ、幅の測定及び「いわき丸」へのデータ送信は音波で行っているが、多少の波浪で欠測、例外値が発生するため、時系列でデータ解析ができたのは、本年度は8月と9月の2回であった。図1に水深30mにおける本年度のデータと過去のゴムボビングラウンド漁具(水中重量220kg)の網なりデータを示す。

 曳網中の網なりについて、コンパウンドロープグラウンドでは、網口幅10〜llm、網口高さ3mであった。一方、ゴムボビングラウンドでは、網口幅13〜14m、網口高さ3〜3.5mと両者に大きな差がみられた。これは、グラウンドロープの形状及び重量の違いにより、コンパウンドロープグラウンドは接地性能がよく、網が広がりにくいためと考えられる。

 また、コンパウンドロープグラウンドでは、投網中にグラウンドが沈むため網口が縦に伸びる結果、網口幅が狭い状態で着底するとともに、その後の網の広がりも遅い。

 同じ条件で行った平成11年度の水槽実験では、網なりについての数値上の差はみられなかったものの、底がコンクリート製の水槽実験ではグラウンド構造の検討は難しく、操業時のデータが


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