教育福島0039号(1979年(S54)02月)-006page
昭和五十四年度
学校教育の推進に当たって
小・中学校
現在の社会情勢のもとで、県民の期待と信頼にこたえる学校教育を推進するためには、現在の学校教育がかかえている課題を明確にし、その解決を図りながら、学校教育の真にあるべき姿を実現するよう努力していかなければならない。
すなわち、これからの学校教育は、豊かな人間性の育成をめざして、知徳体の調和のとれた教育活動を推進し、ゆとりあるしかも充実した学校生活の中で、児童生徒一人一人の個性や能力・適性を伸ばしていくように心がけていかなければならない。
こうした課題をふまえて、昭和五十四年度は、新教育課程の全面実施に備えて、移行措置を的確に行う必要がある。この教育課程の適正な編成と実施は、学校教育推進のかなめであり、学校教育の成果を左右するものである。
従って教育課程の編成に当たっては、その趣旨を正しく理解し、単にゆとりの面を強調するだけでなく、学校生活全般の充実の中で、なおいっそう各教科の指導の充実を図っていく必要があろう。
そのためには、まず児童生徒の実態を的確には握し、その実態に応じて指導のねらいを明確にして、一人一人の児童生徒に確かな学力が身につくよう、基礎的・基本的内容を精選し、指導法のくふう・改善を図っていくことがたいせつである。
しかも、その学習は、単なる知識の習得でなく、自主的、自発的な学習によって、児童生徒が創造的、発展的な学力を身につけることができるように改善していかなければならない。
さらに、豊かな人間性の育成を図るうえから、道徳教育、特別活動における指導を重視するとともに、生徒指導の徹底を図り児童生徒がいきいきとした学校生活が送られるよう充実した教育活動を推進していくことがたいせつである。
これからの学校教育においてはまた、幼・小・中・高の教育の一貫性を図るとともに、地域社会、家庭との連携を密にして、広く生がい教育の立場から、全人教育としての教育指導が行われるよういっそうの努力が望まれる。
高等学校
各学校においては、人間の一生を通じた教育や学習の基礎を培うものとしての、高等学校教育の役割をじゅうぶん認識し、適切な教育課程を編成し実施することが必要である。そのためには、それぞれの地域や生徒の実態に基づいた特色あるものを創意、くふうし、その中で、基礎的、基本的な内容の習熟と生徒の能力、適性に応じた適切な内容の指導が進められることが期待される。
また、現在の生徒の能力、適性等の多様化をじゅうぶん配慮して、ゆきとどいた学習指導を進めるためには、教育の実際の場における指導方法の向上について積極的な実践的研究が期待される。
また、教科以外の教育活動面でのくふうを図るとともに、望ましい人間育成を図るための生徒指導、進路指導等がいっそう充実、強化されなければならない。
養護学校
養護学校教育の義務制の実施及びこれに伴う情勢の変化に対応するため、次の点について努力する必要がある。
1、慎重かつ適正な就学指導の徹底
2、障害の種別、程度に応じた指導方法の開発
3、積極的に社会に参加していくための能力の育成
4、小学校、中学校、高等学校の児童生徒との交流促進
以上についてその具現化を図り、各学校、学級が、障害をもつ児童生徒にとって充実した生活の場となり、保護者の信頼と期待にこたえられる学校、学級づくりを進めることが望まれる。
幼稚園教育
幼稚園
人間形成における幼児期の教育の重要性に対する理解が深まり、幼稚園教育に対する社会の関心や期待は非常に高まってきている。こうした情勢のもとで、幼稚園教育を充実発展させていくことは、今日の大きな課題である。
そのために、次の諸点に配慮し、教育の効果をいっそう高めるよう努力す