教育福島0065号(1981年(S56)10月)-051page

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ふるさと探訪

 

県指定重要文化財(工芸品)

熊野神社御正体 十一面

 

銅造阿弥陀如来懸仏  一面

銅造阿弥陀二尊懸仏  一面

銅造薬師如来懸仏   一面

銅造千手観音懸仏 扇面型阿弥陀如来懸仏 銅造薬師如来懸仏 三面 一具

(附) 懸仏 五面

 

田島町宮本の熊野神社には鎌倉時代から室町時代にかけての十一面の懸仏が納められている。

このうち「銅造阿弥陀如来懸仏」は薄い銅板の裏に木板をあてた堅牢重厚な作で、周縁の覆輪。圏内の飾り鋲、両肩の獅噛座を具えた宝珠形の鏡台などに南北朝時代懸仏の典型的様式を示している。裏面には貞和元年(一三四五)十一月二日願主源有宗敬白」の年記、銘文もあり、南北朝代懸仏の代表的作例として文化史上価値が高い。

「扇面型阿弥陀如来懸仏」「銅造薬師如来懸仏」「銅造千手観音懸仏」の三面は、熊野三社の本地として本来一組になっていたものと考えられる。即ち、中央に熊野本宮証誠殿家津御子神の本地として「扇型阿弥陀如来懸仏」、右に新宮速玉男神の本地「銅造薬師如来懸仏」、左に那智宮夫須美神の本地「銅造千手観音懸仏」を一揃として懸けたものであろう。中でも扇面型の懸仏は形の上からもめずらしい。この形の懸仏は室町時代からあらわれるが、なぜ円形の鏡地が扇形にかわるかは、はっきりした理由はわかっていない。或は、扇面写経の盛行とともに扇が信仰の対象となったためかもしれない。この三面は、外圏の花飾りや内圏の仏像などのつくりが酷似しており、また薄い板金による天蓋、蓮華、蓮池の表現などの面で共通の手法がみられる。室町時代中期の特徴をよく示している懸仏である。

 

▼銅造阿弥陀如来懸仏

◆扇面型阿弥陀如来懸仏

 

◆扇面型阿弥陀如来懸仏

 

 

▲銅造薬師如来懸仏

▲銅造薬師如来懸仏

 

▲銅造千手観音懸仏

▲銅造千手観音懸仏

 

所在地

南会津郡田島町大字田島字

宮本甲六二一

所有者

熊野神社

 

 

 


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