教育福島0070号(1982年(S57)04月)-044page

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こぼればなし

 

湿気をおびた霧が流れています。音をともなわない白濁色が、遠くの方で舞曲にあわせリズムをとっているように見えます。

 

本誌も発刊以来七〇号の発行となりました。過去に編集されたものに目を通してみますと、それぞれに創意工夫が凝らされており、直接編集に携わった先達の苦労がよくわかります。

作る過程の煩わしさやもどかしさを癒してくれるものは、読者諸子によろこんでもらえることだ、と商業誌の編集に関係している友人のことばを思い出します。よろこんで読んでもらえる「教育福島」誌づくりはどうしたらよいのだろう………編集子にとって頭の痛い課題が一つふえました。

前にもなにかの機会にふれましたが、雑誌の顔が表紙だとすると、本誌も、カラー刷りの表紙絵を載せたことで一歩前進したような気がします。何月号の表紙絵を最非譲ってもらえまいか、というような問いあわせもあり、その都度、表紙絵執筆者にご迷惑をかけました。ついでながら、今年の表紙絵は「福島の四季」シリーズを企画し、教育現場で美術の指導に当たっている先生がたに依頼しました。その時その時の表紙に、四季のうつりかわりが表現できたら、と考えています。グラビア題字も、学校教育に関係の深い書家に揮毫をお願いしました。本号でご覧のように高橋藤園先生から「心肝醇乎」、また来月号には、樋口朝亭先生の手になる「行不由径」のすばらしい題字が届けられました。多分に、これら「顔」の部分には、心なごむ表情がでているはずです。

ところで、新しく「提言」の欄を設けました。教育界内部にかたよらず、多角的な目で教育を語ってもらおうというわけです。本号に原稿をいただいた画家吉井忠先生をはじめ、篆刻家綿引千齋先生、劇団四季女優三田和代さん、東京外語大学長鈴木幸寿先生、お天気博士荒川秀俊先生、才媛・女性検事の田島優子さん、早稲田大学教授紅野敏郎先生等、多士済々。号を追って、心のこもった提言が届けられるしくみになっています。乞う、ご期待というところです。

 

靄がきれて稜線がくっきりと姿を見せました。うすらいだ陽光が、残雪に照りかえり、しだいに空が青みをましてきました。こんな風景を目にしながら、やはり、よろこんで読んでもらえるにはどうしたらよいのだろう、という考えが頭をよぎります。ギラギラの太陽がエネルギーを回転する季節もまもなくです。どうぞすこやかな日々を…。

 

あとがき

 

あとがき

 

○ 窓のむこうに、雨後の適当な水分を含んで、若葉したみどりが点在している。梨子の花だろうか、蘇芳木を背景にして、白いかたまりがひときわ美しい。抵抗なく自然にとけこんでいる、この潤いのある風景が、なんとなく好きだ。

 

○ 菜の花いろの帽子が通る。聞かん坊もすまし顔で通る。四月、五月の季節には、この色がよく似合うと、いつも思う。

 

○ 今年小学校に入学した児童は、三万千六百八十五名。新入生が一人だけの学校は、分校を含めて十一校。二百名以上の新入生があったのは十校。大規模小学校血1は、郡山市立行健小の千五百三十四名である。

 

○ 今年もまた、みのり多い豊かな学校生活を期待したいと思う。

(ひ)

 

 

 


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