教育福島0071号(1982年(S57)06月)-009page

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生徒指導の充実は、本県教育委員会にとっても最重点課題の一つであり、各学校においても真剣な取り組みがみられ、実践活動が推進されている。

去る四月末日をもって調査を実施した「生徒指導充実のための具体策」の報告にも、数多くのすぐれた実践が報告され、各学校の力強い取り組みの状況を把握することができた。

しかし、全教職員の共通理解を確立することや生徒理解を深めることなどについての具体的な実践については今後一層努力する必要がある。

次に紹介する二校の研究実践は、これらの点について多くの示唆を与えてくれるものである。

まず、会津若松市立第一中学校の実践例であるが、生徒指導を本校の教育目標の具現化の観点からとらえ直し、的確な生徒指導全体構想を確立した点は参考にすべきである。

また、人間関係の改善を目指した小集団の組織化や生徒の内面を、とらえようとする各種の試みも参考になろう。

次に、桑折町立醸芳中学校の実践例であるが、実践力を高める生徒指導の充実を目指し、学級・学年経営、生徒活動、学業指導の三面から研究を進め着実な歩みを示している。

特に、生徒指導に真剣に取り組む過程で、なによりも教師一人一人の人間観の確立と教師集団のあり方についての重要性を痛感したという反省は、看過し得ない重みをもっている。

 

実践紹介1)

 

会津若松市立第一中学校

 

豊かな人間性を育てる生徒指導

 

−たがいにみがき合い自らを高める生徒の育成−

 

はじめに

 

本校は、昭和五十四年度から三か年間、県教育委員会並びに会津若松市教育委員会指定の生徒指導研究校として「豊かな人間性を育てる生徒指導」を研究主題とし、主題解明のための具体的内容・方法を明らかにすべく、全職員で努力した。

研究実践の方向づけと研究対象は、実態調査等に基づき次のように設定した。

 

一 問題の範囲

 

生徒一人一人の問題意識が薄く、基本的行動様式、自主性、連帯感が欠落している。

 

二 問題解決への具体的な対策

 

(一) 小集団の構成を改善し、よりよい人間関係を維持する。

(二) 道徳教育の関連において、特に、基本的生活習慣、寛容、集団生活の向上、自主性のかん養に努める。

(三) 話し合い活動をとおして、意識の練りあげを図る。

(四) 互いにひ益し合う集団において自己実現を図るように努めさせる。

 

三 問題の解決

 

豊かな人間性が育つ。

 

四 問題解決への見通し

 

正しい生徒理解を基盤とし、望ましい人間関係のもとで、生徒にめあてを与え、実践するみがき合いの場を的確に位置つけ、相互・自己評価を計画的・継続的に行い、自分を見つめる力を身につけるならば、豊かな人間性を培うことができるであろう。

 

五 望ましい若松一中生徒像(表1)

 

本校の研究部門は、○学業指導部、○学級経営部、○生徒活動部、○教育相談部で、生徒指導全体構想(表2)と課題追求のための実践事項は次のとおりである。

 

六 実践事項

 

(一) 学業指導の充実と助け合い学習の展開

(二) 学級を基盤とした小集団活動の推進。

(三) 日常生活指導、特に、基本的生活習慣・行動様式の確立のための継続指導の徹底。

(四) 生徒の自主的な活動を高めるための年間指導計画に基づく集会活動の推進。

 

 

 


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